遺産相続。弟に公平な取り分を納得させるには?

<遺産相続>弟のとんでも発言に呆れ……。トラブルを回避することはできる?【弁護士が解説】

Baby&Kids / Life style

読者から寄せられたリアルなトラブルを弁護士が解説します。【金銭トラブルに困っているAさんの場合】
イラスト/ねこ田ねこ子

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「子だくさんだから、遺産の取り分は多くあるべき」弟を納得させるには?

遺産相続。兄弟に公平な取り分を納得させるには?

とある女性からの質問。

「遺産相続でもめています。弟が『子どもが多いので、自分の取り分を多くして欲しい』と主張し譲りません。円満に解決したいと思っているのですが、法的に正しい財産分与を示し弟に納得させることはできますか?」

弁護士の回答は?

弁護士法人C-ens法律事務所代表弁護士

◆森崎 秀昭
2005年3月、立教大学法学部法学科 卒業。2014年3月、C-ens法律事務所 設立。日本スポーツ法学会所属。「お客様の本質的な幸福や成長のために」を理念に、丁寧なサービスを提供している。
専門分野は、企業法務、スポーツ・エンターテインメント法務、IT法務、労働問題、相続、男女問題、借金問題、消費者被害、教育関連、美容・健康関連など

遺産相続のタイミングにはご兄弟姉妹それぞれに色々な事情があり、多く欲しいといったニーズもありますよね。大切な方が亡くなられた直後に、お金のことで家族が揉めるのは本当に辛いと思います。簡単に相続についてご説明させていただきますね。

1. 相続人全員が納得すれば分割の割合は自由

そもそもの原則として、相続する人全員が納得すれば一人が遺産すべてをもらうことも可能です。ただ、今回は弟さんとご相談者様のご希望がズレているので、このようなパターンには当てはまりませんね。

2. 遺言書があればそれに従う

もし亡くなられた方が遺言書を作成していて、 それが有効なものであれば、 その内容に従って分割することになります。そのため、まずは遺言書の確認を行いましょう。

3. 納得できない場合は法律ベースで検討

有効な遺言書がなく、相続人それぞれの意見がぶつかり合う時には、法律に従うのが一番公平かと思います。 法律は、個人間で解決できない場合に調整してくれるルールとしての役割も果たすのです。

今回のケースでは、相続人がご姉弟二人であれば、 それぞれの配偶者やお子さんの事情は関係なく、仲良く半分ずつが法律の定めるルールです。このことを弟さんに理解してもらえれば、無理な要望はなくなるかもしれません。

4.兄弟姉妹だけの相続の難しさ【1】

さて、弟さんのご要望ですが、それは彼だけのご意向でしょうか? 実は兄弟姉妹が相続をされる際に、彼らの配偶者や義理のご実家が問題になることも珍しくありません。相続人以外の人が関与していると話がややこしくなりがちで、弟さんがご理解くださってもお話はまとまらない可能性もあります。

5.兄弟姉妹だけの相続の難しさ【2】

他にも兄弟姉妹、どちらの方が親御さんから愛されていたかなどの問題をはらんでいることも。

例えば「姉ちゃんはいつも新しい洋服を買ってもらってたけど、俺はいとこのおさがりばかりだった」 「姉ちゃんは私立の大学出させてもらったけど、俺は高卒で地元で就職した」など、些細な嫉妬などが原因で話し合いがまとまらないこともあります。

6.どうしても難しい場合は裁判所の力を借りる

法律のルールは理解できても、感情が先走って話がまとまらない。配偶者など第三者を納得させることができない。そんなことが理由で話がまとまらないケースも多々あります。

そのような場合には、裁判所の力を借りて話し合いをする「調停」という手続きを取ってみるのも手でしょう。 兄弟姉妹で争うのは本望ではないと思いますが、裁判所という第三者が間に入ることで、 本人同士の話では納得できないことも解決できるかもしれません。

どんな正論も、誰から、何を、いつ、どのように聞くか?によって、受け取れるかどうかは違ってくるものなのです。

弁護士としての見解

大切な方が亡くなったとき、残された貴重なご親族同士争うことなく仲良く故人を悼みつつ、残された遺産も故人が喜んでくれるように分けてもらえたら幸いです。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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