【相談内容】今回のお悩みは株価が暴落したあとの資産運用への不安
4月上旬に、米国のトランプ大統領が新しい関税を発表して大きく報道されたあと、株価が大きく下がったので驚きました。その後、株価は回復しましたが、1日で株価が大きく下がったときの不安な気持ちが忘れられません。
昨年、NISAを始める際に、米国株の投資信託をすすめられて買ったのですが、今後の暴落に備えて売却したほうがよいでしょうか。(46歳、男性)
◆小松原和仁/ウェルスナビ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。全自動で資産運用をおまかせできるロボアドバイザーを提供するウェルスナビで、セミナー講師を務める。
1つの資産に集中して投資を続けると、リスクが高くなりすぎる可能性
米国株は、近年のパフォーマンスが好調だったこともあり、人気を集めています。特に、米国の代表的な企業にまとめて投資できる投資信託の人気が高まってきました。新NISAをきっかけに資産運用を始めた読者の方の中には、米国を代表する株式指数の一つ、S&P500の投資信託を購入されたという方も多いのではないでしょうか。
ただし、1つの資産に集中して投資をすると、リスクが高くなりすぎる可能性がある点には注意が必要です。今年の4月のように、相場が急落した際に、想定以上のダメージを受けて、資産運用が続けられなくなるかもしれないからです。
大きな損失を避けるには、値動きの異なる資産を組み合わせておく
相場が急落した際のダメージを和らげるには、分散投資が有効な手段です。分散投資とは、値動きの異なるさまざまな資産を組み合わせることを言います。
次のグラフは、株式、債券、金、不動産といったさまざまな資産について、2025年1月1日時点を100として、4月までの値動きを比較したものです。4月上旬には、米国株は約2割下落した一方で、金の価格は反対に上昇していました。
自分にあったリスクで資産運用を続けることが大切
今後も、関税政策をはじめとした米国の動向などによって、世界経済がどう動いていくか見通すのは難しい状況です。不安定な相場がしばらく続くかもしれませんし、再び株価が大きく下がるかもしれません。
しかし、短期的に相場が下がったからと言って、すぐに資産を売却してしまうのはもったいないことだと言えます。NISAを活用した資産運用では、多くの人は長い時間をかけて資産を築いていくことを目的としているはずです。
今年4月の急落は、自分がどのくらいのリスクであれば耐えられるのかを考える一つのきっかけになったのではないでしょうか。いま、株式だけに投資をしている方であれば、株式だけでなく債券にも投資することで、リスクを抑えられます。また、金や不動産といった異なる資産にも投資できるのであれば、リスクを抑える効果がさらに高まります。
まとめ
大切なポイントは、できるだけ長く続けられるように、高いリスクを取りすぎないことです。様々な資産に予め分散しておくことで、リスクを抑えながら、長期的な視点で資産を増やすことを目指していただきたいと思います。
※「ウェルスナビ」が投資対象としているETFのうち、各資産クラスに対応する以下の銘柄の値動きを分析。円換算ベース、手数料年率1.1%(税込み)控除後、配当込み
・米国株:VTI、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
・日欧株:VEA、バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETF
・新興国株:VWO、バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF
・債券:AGG、iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF
・金:GLD、SPDR ゴールド・シェア
・不動産:IYR、iシェアーズ 米国不動産 ETF
出所:Bloombergよりウェルスナビ作成
※検証結果は過去データに基づき計算されたものであり、将来の運用成果等について示唆・保証するものではありません。
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