夫婦のズレの原因は「コミュニケーション不足」?
「ご夫婦別々にお話を伺いましたが、今度はご夫婦揃ってお話を伺っていこうと思います。」
「まず、ご主人がハマッているという、キャンプについてお話していきましょう。奥さまは、ご主人のキャンプについてどう思われますか?」
志帆さん「キャンプ自体は子供の教育にもいいと思うので行ってもいいのですが、お金の使い方を考えて、過度なグッズの買い集めは控えてほしいです。身の丈に合った楽しみ方をしてほしいと思います。
まだテントに泊まったことも1回ほどなので、何十万のテントをいきなり買うのは抵抗があります。数年キャンプに行き続けて、徐々にグッズが集まっていったというならいいのですが……。」
「ご主人はどう思いますか?」
耕平さん「その通りだと思います。
最初は『買う前に相談して、納得してくれたら買うよ』と言ったのですが、勝手に高いアウトドアグッズをたくさん買うのではないかと妄想だけして、あたかも決まったことかのように文句を言われると、相談する気が無くなってしまいます。」
志帆さん「確かにそうだけど、最近、毎日荷物の箱が届くので、恐怖を感じるんです。
カードで決済しているみたいだけど、払えるの?これは一体いくらなの?収納はどうするの?って……。」
耕平さん「高いものをたくさん買っているわけではなく、きちんと自分の中で計算して、予算をとって買い物しているから大丈夫だよ。
いくらのものを買ったかは、聞かれたら提示できるようにはしていたけれど、聞かれなかったのでそのままになっていました。最近、明細を見せる機会があり、わかってもらえましたけど。」
志帆さん「はい、意外と明細を見たら何十万単位ではなかったので安心しました……。」
「毎日届く荷物、どんなものでいくら位なのかがわからないと、恐怖ですよね。しかし、ご主人はきちんと計算してきちんとお買い物されていたんですね。」
「買い物をする前や荷物が届く前の段階で、〈お互いのコミュニケーション〉が取れているとよかったのでしょうか。」
志帆さん「そうですね。毎日届く荷物を見て、勝手に思い込みで不安になって、急に怒ってしまうこともあったので、きちんとどんなものでいくら位なのか聞くのが大切だなと思います。」
「どうしても家にいると、思い込みで妄想が広がりやすいですよね。ご主人はいつも外で働いていると、家の中のことや奥様がどう思うかなどは忘れがちになってしまうと思うのですが、いかがですか?」
耕平さん「僕の比重は、家庭30%、仕事30%、趣味30%位かなと思うのですが、妻は家庭50%、家庭以外50%の比重だと思います。
衝突の原因は、2人の天秤がずれているのが原因なのかな?と思います。」
「奥さまは、天秤がずれていることに対してどう思いますか?」
志帆さん「主人は外で一生懸命働いてくれているので、家庭の比重が私より軽いことは正常なことだと思います。
天秤がずれているところは、コミュニケーションで埋めていけばいいのかな。コミュニケーションがきちんと取れていなかったかもね。」
耕平さん「そうだね。コミュニケーションをもっと積極的に取らないとね。」
外食の時はいくつか候補を出すとうまくいく!
「続いて、家事、主に奥さまの手料理の件です。お二人のお話を聞いて、お互いの思いがすれ違っているのでは?と思いました。奥さまはどう思われますか?」
志帆さん「私の手料理については、失敗した時に厳しく言わないように我慢してくれているのはわかるのですが、チクチク言われるのが嫌です。」
耕平さん「言わないように頑張ってるんだけど、言っちゃうんだよね……。でも傷つけないように気をつけます。」
志帆さん「レストランに行きたいと思うのも、おしゃれな雰囲気を味わいたい、家事に疲れたからファミレスがいい……など、目的は色々あります。疲れている時は、近所のファミレスに行きたいなと思います。」
耕平さん「疲れている時は、もちろんファストフードでもいいと思っています!
でも、あのお店ならいいけど、このお店は嫌……という僕なりのこだわりがあって。」
志帆さん「そうそう、ファミレスやファーストフードでも、主人はこだわりが強いんです!
その日の気分で食べたいものが変わりますし、手を抜くにも気を遣うんですよね。」
「そうしたら事前にご主人のいくつか行きたいお店をリストアップしておくといいかもしれませんね。そのリストの中に奥さまの行きたいお店も含めておくと良いですね。」
「例えば奥さまから、『今日は外食にしたいんだけど、◯◯か××か△△のお店の中から選んで行ってみるのはどうかな?』とご主人に伺う。
また、反対に奥さまが疲れているなと感じたら、ご主人から『今日は□□か◇◇か●●のお店に行って外食をする?外に行くのも大変なら自分が作っても良いよ』と提案してみるなど……。」
耕平さん「いいですね!リストアップすればお互い食べたいものが食べられますし、疲れているなら僕が作ってもいいし、買ってきてもいいし。
毎日ご飯を作ったり、家事を一生懸命すると疲れてしまいますからね。ほどよく手を抜けば、妻も心にゆとりができると思います。
例えば妻は家事を完璧にしすぎて、明日洗濯機を回してもいいのにという日も回して、結果的に忙しくなっている気がします。家事を全て完璧にしようと思うと、疲れてしまうと思います。
心にゆとりができれば、ケンカも減りますし、夫婦の時間が作れると思います。
僕が仕事から帰って、夜10時位からはフリーの時間になるときなど、そこで妻が家事を詰め込むのではなく、ゆとりを持ってくれれば、2人でのんびりできると思うんですよね。
手抜きができるところは、してほしいです。」
「ご主人は、2人の時間がもっとあったらいいなと思っているんですね。」
志帆さん「私も2人の時間が欲しいです。
今までは、料理もその他の家事も、手を抜かなければコストを押さえられると思って頑張ってきました。これからは、麻婆豆腐を作る時も素も活用してみます。(笑)
2人の時間を作るために、もう1つ主人に伝えたいことがあります。
毎日帰り時間がバラバラで、家事をする時に見通しが立てられないのがストレスになってしまって……。できれば、帰り時間が早いか遅いかを、前もって言ってほしいです。」
耕平さん「確かに、ある程度その日の出勤前には『今日は早く帰れそう』など、大体見通しが立っていることが多いので、聞かれたら答えられそうです。
『今日は早く帰れそう?』などと聞いてくれれば『早く帰れそうだよ』と言えるかも!」
志帆さん「私が毎朝「今日早いの?」と聞けば、変わるかもね。」
耕平さん「そうだね。お互いのスケジュール管理ができていなかったね。」
「2人なりのコミュニケーションの取り方を、今までと少し変えていくといいかもしれませんね。」
耕平さん「お互いのことをきちんと考えて、コミュニケーションを取れば、もっと幸せな夫婦になれそうだね。」
志帆さん「お互い自分の意見を言うことは得意だけど、〈相手が考えていることを汲んで相手の気持ちを受け入れること〉が必要だよね。」
「つまり、お互いに〈思いやり〉が大切ということでしょうか。コミュニケーションがきちんとできていれば、じゃあこうしよう!と落とし所が見つかりますよね。」
「ご夫婦で共通した目標を立てて、一緒に達成していくと良いのかなと思います。
そのためには、普段からのコミュニケーションや、お互いに相手の気持ちを受け入れることが大切になってくるのではないかと思います。
目標は、近い将来の目標と、もちろん『子どもが○歳になったらモルディブに行こう』など長期目標もあると良いですね。」
普段当たり前にしていることを認めてもらえると嬉しい!
「最後になりますが、お互いに感謝されていることがありましたので、それについてお聞かせくださいますか?」
志帆さん「毎日、通勤電車に乗って仕事を頑張ってくれていることや、私が会社員時代に『辛いなら、仕事をやめてもいい』と言ってくれて、今の自由な働き方を選択させてくれたことに感謝しています。」
耕平さん「妻は家事・育児を本当に頑張っているので、僕にはできないですし、すごいと思います。」
志帆さん「そういう風に、私の家事や育児に関して認めてくれているとは知らなかったです。素直に嬉しい!」
耕平さん「僕もいつも当たり前だと思っている『働く』ということに関して、認めてもらえて嬉しいな。」
「やはり自分を認めてもらうことって嬉しいですよね。」
「お二人のお話を聞いて、普段のコミュニケーションや言葉の使い方次第で、もっと楽しんで子育てもしていけるのではないかな?と思いました。
お互いが認め尊敬し合っていると感じました。ちょっとしたケンカはあって当然なので、長引かせず話し合ったり、場合によってはうまく距離を取ることも大切ですね。
話し合いをする時は、具体的な方法をいくつもあげて、できることからすることが重要です。
不安な気持ちって、漠然としているから余計不安になるんですよね。きちんと話し合って、不安な要素は具体的なことに置き換えると、安心するものです。
小さなことでも、2人で一つ一つ丁寧に向き合っていけば良いのではないかな?と思いました。」
夫婦カウンセリングを受けての感想
新山さんご夫婦に、夫婦カウンセリングを受けての感想を伺いました。
志帆さん「意外といつもしている家事や育児に対して、認めてもらえているんだなとわかりました。普段は感じていなかったですけど……。(笑)
『手を抜けよ!』という言葉の裏では、私のことを心配してくれていたというのがわかりました。主人もそうですが、私も人の気持ちを汲むのが苦手なんですよね。
主人の発言には優しい気持ちがあるんだと感じて、もっと相手の気持ちを汲んだり、受け入れられるようになりたいなと思いました。」
耕平さん「心配な気持ちや思いやりの気持ちを持っていても、きちんと出していかないと僕の片思いになってしまうと気付きました。
今後、工夫しながらコミュニケーションを積極的に取って、気持ちを伝えていきたいと思います。
『外食の際に候補をリストアップする』など、具体的な対策も提案していただけて、そうすればモヤモヤしないんだ!と気づくことができました。」
【朝日先生の分析】
今回のご夫婦のすれ違いは、〈気持ちの伝え方〉や〈相手の気持ちの受け取り方〉に関係があるのではないかと思いました。
カウンセリングでは、お互いに思っていても伝えられなかった思いや気持ちをつなげることがとても大切です。
解決方法はなるべく具体的に提案し、話し合いをしてもらいました。話し合いが進むと、ご夫婦からの解決策も色々と出てきましたね。
お互いに感謝している部分や思いやりを確認すると、お二人とも穏やかな表情になったのが印象的でした。
夫婦間の価値観の違いは、コミュニケーションの取り方を工夫する、解決策をたくさん試してみることで解消される場合があると思います。
そのためには、普段から〈思いやり〉を意識していると良いのかもしれませんね。
とても素敵なご夫婦で、心が温かくなるカウンセリングでした。
いかがでしたか?夫婦の微妙なズレも、コミュニケーションを積極的に取り、お互いの気持ちを工夫して伝えることにより、解消できることがわかりましたね。
何年も一緒にいると忘れがちなのですが、やはり夫婦にとって一番大切なのは〈思いやり〉と、それを伝えるための〈丁寧なコミュニケーション〉なのですね。
みなさんも、夫婦のコミュニケーションの在り方を振り返ってみてはいかがでしょうか?
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