【相談内容】子どもの大学資金はどう貯めるべきですか?
「今年、子どもが生まれました。将来の大学資金は、奨学金に頼らずにすむようにしたいのですが、どのように貯めたらよいでしょうか。昔は学資保険の活用をよく耳にしましたが、今はどの方法がおすすめですか?」(30代)
回答するのはこちらの専門家!
◆得能達/ウェルスナビ
とくのう・たつ。ウェルスナビ リサーチ&クオンツチーム マネージャー。全自動で資産運用をおまかせできるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の研究・開発をしている。「働く世代に資産運用を広げたい」との思いから、2023年にウェルスナビに入社。一橋大学大学院経営管理研究科修士課程修了(MBA)。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2児の父。趣味は家計簿記帳と、マニアックな投資の実践。
将来の教育費は「別の箱」で準備する
教育費への活用をおすすめしたいのが、国から支給される「児童手当」です。これは今の収入に追加して支給されるものなので、現在の家計を削らずに備えることができます。
子どもが生まれた翌月から、年に6回(偶数月)、指定された口座に振り込まれます。3歳未満は1人あたり月額で15,000円、3歳以上から高校生の年代までは10,000円、第3子以降は1人あたり月額30,000円です。
このとき、受け取り口座は、生活費の口座と完全に分けることがおすすめです。生活費の口座に振り込まれると、つい使ってしまいがちなためです。
児童手当を活用し、教育費専用の「別の箱」(専用口座)を作ることが第一のステップです。
大学費用は10年以上の「長期で」準備する
児童手当を18歳まで貯めた場合、総額で約240万円になります。このとき、ただ貯めるのではなく、資産運用を検討してみてはいかがでしょうか。
資産運用は時間を味方につけ、長く続けることが大切です。18歳以降の教育費であれば、10年以上の長期での運用を見込めます。
児童手当のお金を毎月積み立て、仮に年率3%でNISAで運用した場合、18年後には約330万円になります(※1)。
このときに注意してほしいことが2つあります。
1点目に、投資をする対象を分散させ、リスクを抑えること。例えば、特定の株式のみなどはリスクが高いので注意が必要です。
2点目に、使う時期が近づいてきたら、早めに引き出して現金にしておくこと。大学の入学金を納めないといけない時期に金融危機が起きて、資産が減ってしまうと大変だからです。使う手前のタイミング(例えば、数年前など)から徐々に現金にしておくのがおすすめです。
参考までに、国公立大学の4年間でかかる学費はおよそ250万円です(※2)。私立大学や一人暮らしの場合はさらに備えが必要ですが、児童手当で積み立てたお金が大きな土台となるはずです。
学資保険も選択肢にはなりうるのですが、契約時の予定利率に基づいて将来の受取額が決まっている点に注意が必要です。教育費も値上がりしている昨今では、NISAを活用して資産運用にまわすほうが、よりインフレに対応でき、資産を大きく育てられる可能性があります。
高校までの教育費は「家計の余力に合わせる」
高校までの教育費も気になるところですが、高校の授業料は実質無償化の制度もあります。
塾や習い事など学校外の費用は青天井になりがちです。これらの費用は、児童手当による積立とは切り離して考えて、毎月の家計の余力と相談して支出を決めるとよいでしょう。
時間を味方につける仕組みを
教育費を準備するうえで大切なことは「時間を味方につける」仕組みをすぐにつくることです。
児童手当が振り込まれる口座は専用のものをつくり、NISAを活用した積立投資を始める。この2つのステップが、将来のお子さんの選択肢を広げる助けになることでしょう。
※1 試算条件:子どもが4月生まれと仮定し、0歳から3歳になるまでは毎月15,000円、3歳から18歳になるまでは毎月10,000円を積み立て、年率3%で運用した場合。
※2 https://www.mext.go.jp/content/20231226-mxt_sigakujo-000033159_4.pdf
文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より算出
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