放課後のトイレ
放課後の学校は、静けさに包まれていました。私は図書委員として残り仕事をしていましたが、ふと男子トイレから聞こえてきた奇妙な音に気づきました。
「誰かいるの?」と声をかけましたが、返事はありません。
代わりに、かすかな叫び声が聞こえたような気がしました。どうやら男子トイレの方から聞こえたようです。
トイレに入るか迷っていましたが、意を決して、恐る恐る男子トイレに足を踏み入れました。その声は一番奥の個室から聞こえているようでした。
不気味な雰囲気を感じながら「大丈夫ですか?」と尋ねましたが、返事はなく、代わりに弱々しいノックの音が返ってきました。
「開けますよ」と言って、ドアノブに手をかけました。
息をのみながら、ゆっくりとドアを開けると、そこには誰もいません。空っぽの個室を見て、私は首をかしげます。
その瞬間、背後でドアが大きな音を立てて閉まりました。振り返ると、入ってきたはずのドアが消えていて、そこには何の変哲もない壁があるだけでした。
閉じ込められた個室
一瞬何が起きたのか分かりませんでした。
「これ、どういうこと?」と呟きながら、壁を触ってみましたが、ただの固い壁です。
パニックになりかけた私は、「誰か!誰かいませんか!」と叫びました。
すると、かすかな笑い声が聞こえてきました。その声は、どこからともなく響いてきます。
「君も仲間だよ」と、低くしわがれた声が言いました。
その時、個室の壁に無数の傷跡が浮かび上がりました。よく見ると、それは必死の形相で壁を引っ掻いた跡のようです。そして、それらの傷跡から血が滲み始めました。
「や、やめて!出してよ!」
私は必死に壁を叩き、助けを求めて叫び続けました。
でも、誰にも聞こえない。私の声は、この狭い空間に閉じ込められたまま。
時間が経つにつれ、私の声はかすれていきました。
そして、新しい「叫び声」となって、次の犠牲者を待つことになるのです。
この個室で、永遠に……。
※この物語はフィクションです。
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