【リアル給与明細】40歳、介護職。勤続17年、昇給しても手取り額が増えません……【FPが解説】

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読者から寄せられたリアルな給与明細を大公開。質問内容から、改善できるポイントがあるのか、ファイナンシャルプランナーが解説します。【40歳 ケアマネージャー】

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松田亮太
松田亮太
2024.07.01

【リアル給与明細】40歳、ケアマネージャーの場合

給与明細

プロフィール

40歳、男性
介護職 ケアマネージャー

▼現状
ケアマネージャー17年目。
介護業務全般(食事介助・排せつ介助・入浴介助)、ケアプラン作成、介護報酬請求、給付管理など。
労働時間は月160時間、残業は月10時間程度。
ボーナスは年40万円。

【相談内容】昇給しても天引きされる金額も大きくなるため手取り額が増えません。これは仕方ないのでしょうか?

解説するのは……

 

◆松田亮太

ファイナンシャル・プランニング技能検定2級
大学卒業後、地方銀行、外資系生命保険会社を経て、現在FP事務所に勤務中。

手取り額は支給額の75%

相談者さんは17年もの期間ケアマネージャーとして働いておられ、その年収は410,761円×12ヶ月+賞与400,000=5,329,132円です。
一方で、厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、40代前半のケアマネージャーの年収は以下のとおりです。

お給料302,000円×12ヶ月+年間賞与695,700円=4,319,700円

*……参考https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&tclass4val=0

相談者さんの年収は業界の同年代平均と比べて100万円ほど多く、さらに毎年順調に少しずつ昇給しています。
しかし天引きされる金額も増えるため、昇給しても手取り額が増えないことに悩んでおられるとのこと。

毎月のお給料からは、基本的に以下の項目が必ず差し引かれます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

これらの金額はお給料額や扶養人数によって応じて決まりますが、天引きされる金額の増加分が昇給額より多くなることはないため、昇給前よりも手取り額が減ることはありません。

一方で、お給料の支給額の75%程度が手取り額となるため、昇給額が月5,000円であれば、手取り額の増加分は3,750円程度となります。
従って、昇給額が小さい場合は、増えた実感がなくても無理はありません。

制度を活用して手取り額を増やす

相談者さんのような給与所得者の場合、年末調整や確定申告によって所得税の還付や翌年以降の住民税を下げることで手取り額を増やせます。

  • ふるさと納税をする
  • iDeCo(イデコ)を始める
  • 医療費控除・セルフメディケーション税制を活用する
  • 給与所得者の特定支出控除を活用する

ふるさと納税をする

ふるさと納税をすると所得税の還付や住民税の控除が受けられるため、手取り額を増やす方法として有効です。
ただし、近年規制が厳しくなっているため、以前と比べて魅力的な返礼品が少なくなっています。

iDeCoを始める

iDeCoとは、個人型確定拠出年金といわれるものであり、ご自身が年金をもらう際に上乗せして受け取れるように個人で積み立てる制度です。
積み立てた金額は社会保険料と同じ扱いになるため、年末調整での控除手続きにより還付金が多くなります。
ただし、途中での引き出しができないため、積立額の設定は慎重に。

医療費控除・セルフメディケーション税制を活用する

年間の医療費が10万円を超える場合は、200万円を限度として医療費控除が受けられます。
医療費控除が受けられない場合でも、対象の医薬品を年間12,000円以上購入した場合は、88,000円を限度としてセルフメディケーション税制による控除が受けられます。
いずれも、適用を受けるためには確定申告が必要です。

給与所得者の特定支出控除を活用する

給与所得者の所得税や住民税の計算では、給与収入からみなし経費として給与所得控除を差し引きます。
さらに通勤費や出張旅費などで一定の要件を満たす支出がある場合は特定支出控除が適用されるため、所得税や住民税が下がる可能性があります。
特定支出控除手続きには、確定申告が必要です。

いずれも劇的に手取り額が増える方法ではありませんが、ぜひとも活用しましょう。

まとめ

介護職の男性出典:stock.adobe.com

・手取り額は支給額の約75%であるため、増えた実感がない場合がある。

・上手に制度を活用して少しでも手取り額を増やす。

※この記事では媒体で募集した情報を掲載しています。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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松田亮太

大学卒業後、地方銀行、外資系生命保険会社を経て、現在FP事務所に勤務。個人宅を中心にお金の正しい知識と知恵を伝える一方で、社内の総務、人事、経理などバックオフィスを一手に引き受けている。
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級