温泉の定義とは?
温泉は、入るととても気持ちが良くてリラックスできますよね。家で入るお風呂もいいですが、疲れているときの温泉は格別です♪
実は、温泉は法律で定義が決められています。
温泉は、昭和23年に制定された「温泉法」により、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、表1の温度又は物質を有するものと定義されています。
出典: 環境省ホームページ「温泉の定義」(https://www.env.go.jp/nature/onsen/point/)
(表1は、環境省のページを参照。温泉源から採取されるときの温度が25度以上かつ19種類の指定物質いずれか一つを規定値以上含有するもの。)
さらに、温泉のうち特に治療の目的に供しうるものについては「療養泉」に分類されています。
まさに自然の恩恵とも言える温泉。
日本全国には多くの温泉があり、北海道から沖縄までで、宿泊施設を有する温泉地は約3,000あるそうですよ。
温泉は、含まれる物質等によって、10種類の泉質に分けられます。
- 単純温泉
- 二酸化炭素泉
- 炭酸水素塩泉
- 塩化物泉
- 含よう素泉
- 硫酸塩泉
- 含鉄泉
- 硫黄泉
- 酸性泉
- 放射能泉
赤ちゃんや小さな子供でも入りやすいやさしい湯や、女性に嬉しい美肌の湯、体が温まって寒い冬にぴったりの熱の湯、細かな泡がしゅわしゅわと体にまとわりつくラムネの湯などなど、特徴的な温泉が全国各地に存在します。
温泉地によっては、複数の泉質が湧き出ているところもあるようです。
他のスパ・銭湯などとの種類の違い
温泉とスパ・銭湯・スーパー銭湯などは、必ずしもイコール関係ではありません。
まず、スパは今やいろいろな意味合いで使われている言葉です。くつろぎや癒しのサービスを提供し、水浴や温浴をベースにしている施設が多い傾向に。
スパでは必ず温泉が使用されているわけではありませんが、温泉スパなど、温泉が楽しめる施設もあります。
銭湯は”公衆浴場”の意味合いが強く、地域によって料金の取り決めがあります。スーパー銭湯に関しては、娯楽施設としての要素が強くなるので、料金の取り決めはなくなります。
どちらも必ず温泉である訳ではなく、温泉使用の有無によって名称に違いはありません。
ただし、天然温泉に該当する場合は、天然温泉表示看板が掲示されています。
スパや銭湯などに使われる湯には温泉が含まれている場合もありますが、施設によって異なるので、温泉かどうか気になる場合は、事前チェックを忘れずにしてください!
日本にある温泉の泉質10種類一覧
ここでは、環境省で定められている日本の泉質10種類をご紹介します。
それぞれの泉質の効能などをチェックして、旅行先や温泉施設を決めるときなどに役立ててください。
あわせて、それらの泉質に代表される有名どころの温泉地も取り上げています!
(※温泉地によっては、複数の泉質が湧き出ている場合も。利用する施設の泉質を確認してくださいね。)
単純温泉
- 基準条件:泉温が25度以上で、溶存物質量が1,000mg/kg未満
- 効能(適応症)※浴用:自律神経不安定症・不眠症・うつ状態など
- 有名どころの温泉地:下呂温泉(岐阜県)・湯布院温泉(大分県)・道後温泉(愛媛県)など
単純温泉は、含まれている物質の量が少ない、マイルドな泉質です。日本でも一、二を争うほどに多い泉質で、全国の有名な温泉地もこの単純温泉ということが少なくありません。
色や匂いはほとんどなく、やさしい肌触りのお湯なので、赤ちゃんからお年寄りまで老若男女問わず入りやすいのが特徴。湯あたりを起こしにくいとされ、肌が弱い方や敏感肌にもおすすめです。
また、pH8.5以上のものは「アルカリ性単純温泉」と呼ばれています。肌がすべすべすることから美肌の湯としても人気です。
二酸化炭素泉
- 基準条件:二酸化炭素を1,000mg/kg以上を含む
- 効能(適応症)※浴用:きりきず・やけど・高血圧症・冷え性など
- 有名どころの温泉地:長湯温泉(大分県)・妙義温泉(群馬県)など
二酸化炭素泉は、珍しい泉質の種類です。二酸化炭素がお湯に溶けているので、しゅわしゅわとした泡が出ているのが特徴。「ラムネの湯」や「泡の湯」とも呼ばれています。
入浴して泡が皮膚に付着すると、炭酸ガスが体に吸収されて血液循環を促します。血圧を下げるので、高血圧症にも効果的だそうですよ。
飲用できるものなら、しゅわしゅわとしたさわやかな喉越しが楽しめるほか、胃腸機能を刺激し利尿・快便効果が期待できます。
炭酸水素塩泉
- 基準条件:溶存物質量が1,000mg/kg以上で、陰イオン主成分が炭酸水素イオン
- 効能(適応症)※浴用:きりきず・冷え性・皮膚乾燥症・抹消循環障害など
- 有名どころの温泉地:嬉野温泉(佐賀県)・川湯温泉(和歌山県)・支笏湖温泉(北海道)など
「美肌(美人)の湯」として有名な泉質が炭酸水素塩泉です。含まれる物質によってはさらに重炭酸土類泉、重曹泉の2種類に分類でき、特に美肌効果を期待したいときは後者がおすすめ。
無色透明なお湯が多いですが、なかには黄褐色のような色合いもあり、匂いはやや薬っぽく感じることも。
そのほとんどがアルカリ性で皮膚の角質を軟化し汚れを落としながら、なめらかな肌へと整えます。でも、肌の水分は蒸発しやすいので、湯上りは早めの保湿ケアを行いましょう。
塩化物泉
- 基準条件:溶存物質量が1,000mg/kg以上で、陰イオン主成分が塩化物イオン
- 効能(適応症)※浴用:きりきず・冷え性・皮膚乾燥症・うつ状態など
- 有名どころの温泉地:熱海温泉(静岡県)・城崎温泉(兵庫県)・和倉温泉(石川県)・指宿温泉(鹿児島県)など
塩化物泉は、日本でもトップレベルに多い泉質の種類です。有名な温泉地の泉質であることも多く、一度は旅行先・温泉施設で入ったことがある人がほとんどなはず。
色や匂いはあまりありませんが、場所によっては茶色や茶褐色などに変わることも。塩分が含まれた温泉はしょっぱめです。
特徴としては、湯冷めしにくく、保温効果抜群なところ。「熱の湯」とも呼ばれ、冷え性の女性におすすめです。
含よう素泉
- 基準条件:よう化物イオン10mg/kgを含む
- 効能(適応症)※飲用:高コレステロール血症/浴用は一般的適応症など
- 有名どころの温泉地:強首温泉(秋田県)・酒々井温泉(千葉県)など
含よう素泉は、2014年の「鉱泉分析法指針」改訂により、新しく登場した泉質名です。よう素は殺菌効果が高く、薬の成分として採用されていることも。塩化物泉との組み合わせがほとんどで、一般的に高い殺菌力を持つ泉質だと言われています。
黄土色のようなお湯で、やや薬のような匂いがする独特で珍しい温泉の種類です。
浴用としては、一般的適応症として疲労回復や健康促進などが期待できます。でも、甲状腺肥大を引き起こす可能性があるので、甲状腺機能亢進症の方は注意してくださいね。
硫酸塩泉
- 基準条件:溶存物質量が1,000mg/kg以上で、陰イオン主成分が硫酸イオン
- 効能(適応症)※浴用:きりきず・冷え性・うつ状態・皮膚乾燥症など
- 有名どころの温泉地:法師温泉(群馬県)・箱根強羅温泉(神奈川県)・伊香保温泉(群馬県)など
硫酸塩泉は、保温効果・美肌効果などを期待できる泉質の種類です。
湯冷めしにくく、湯上りも肌のしっとり感が続きやすいですが、乾燥しがちな人は早めに保湿ケアをしましょう。
動脈硬化や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が気になる方にもおすすめです。飲用なら、胆道系機能障害や便秘改善などの適応症も。
色は無色透明なものがほとんどですが、含まれる物質によっては匂いに薬っぽさを感じることもあります。
含鉄泉
- 基準条件:鉄Ⅱ・鉄Ⅲをあわせて20mg/kg以上を含む
- 効能(適応症)※飲用:鉄欠乏生貧血/浴用は一般的適応症など
- 有名どころの温泉地:有馬温泉(兵庫県)・雲仙温泉(長崎県)など
鉄分が多い含鉄泉は、空気に触れると酸化してしまい変色します。茶褐色(まれに他の色も)のお湯が特徴の一つで、やや鉄のような匂いがするところも。鉄分が含まれているので、飲用すると鉄分の補給としても役立ちます。
浴用による効能は一般的適応症ですが、昔から冷え性や月経障害、更年期障害などにも効くとされ、女性にはおすすめの泉質の種類として有名です。
硫黄泉
- 基準条件:総硫黄2mg/kgを含む
- 効能(適応症)※浴用:アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・慢性湿疹・表皮化膿症(・硫化水素型は抹消循環障害追加)など
- 有名どころの温泉地:草津温泉(群馬)・後生掛温泉(秋田県)・登別温泉(北海道)など
卵が腐ったような匂いがする温泉の種類は、こちらの硫黄泉が多くなります。さらに無色透明〜エメラルドグリーンのような硫黄型と、白濁とした硫化水素型とに分類できます。
刺激が強い泉質の種類ですが、肌トラブルに関する効能で知られ、アトピーやニキビにも効果的。炭酸水素塩泉・硫酸塩泉と並んで、3大美肌泉質のひとつに数えられることもあるそうです。
酸性泉
- 基準条件:水素イオン1mg/kgを含む
- 効能(適応症)※浴用:アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・表皮化膿症・耐糖能以上など
- 有名どころの温泉地:玉川温泉(秋田県)・須川温泉(岩手県)・草津温泉(群馬県)など
酸性の温泉で殺菌力が高い酸性泉。温泉地によっては皮膚にしみるほど酸性度が高く、刺激が強い泉質の種類になります。硫黄泉・放射能泉と並んで湯あたりしやすい泉質なので、場合によってはシャワーで成分をしっかり流してから上がりましょう。
でも慢性的皮膚病などには効果的で、治療として利用されることも。色は無色透明〜やや白濁or黄色っぽいお湯もあり、含まれる物質によっては刺激臭を感じることがあります。
放射能泉
- 基準条件:ラドン30×10-10Ci以上を含む
- 効能(適応症)※浴用:高尿酸血症(痛風)・関節リウマチ・強直性脊椎炎など
- 有名どころの温泉地:三麻温泉(鳥取県)・増富温泉(山梨県)など
放射能と聞くと危険なイメージがありますが、微量の放射能を含む放射能泉は、体に良い影響をもたらします。ラジウム泉とも呼ばれています。
痛風や強直性脊椎炎などに効くとされ、それらが適応症にあるのも放射能泉のみ。また他の泉質のように浴用・飲用だけではなく、吸うだけでも効果が期待できるほど高い効能を持ちます。でも見た目は普通で、多くが無色透明だそう。
お湯の種類は?源泉・掛け流し・加水加温など
温泉旅行や温泉施設に行くと、「源泉」「掛け流し」「加水・加温」などの文言を見かけたことはありませんか?
なんとなく意味はわかるような気もしますが、きちんと表示義務があったり、似ているようでも種類が異なったりするので、ぜひチェックしてみてくださいね。
- 源泉・天然温泉……温泉、あるいは湧き出す場所のこと。
- 加水……温泉に水道水・井戸水・地下水などを加えること。表示義務があります。
- 加温……温泉を温めること。表示義務があります。
- 掛け流し……浴槽には常に新しい温泉が注入され、そのままお湯は再利用せず放流すること。放流式とも呼ばれます。加水・加温が可能な「温泉かけ流し」や加水禁止な「源泉掛け流し」、加水・加温禁止の「源泉100%かけ流し」という分類もあります。
- 循環ろ過式……浴槽内にある温泉を、ろ過装置などを経て再利用すること。ろ過しないときは循環式になります。
旅行先やいつも利用する近場の温泉施設のお湯のタイプはどれでしたか?
もちろん、これは良し悪しを表している訳ではなく、好みや肌に合うかどうかもあるので参考までに。
温泉は種類いろいろ♡それぞれに魅力的な効能が!
温泉には、10種類の泉質があります。いろいろな特徴がある泉質は、含有成分・含有量によって、さらに細分化されています。
旅行先や近場の温泉施設をチェックするなら、どんな人や悩みに向いている泉質なのかを見てみましょう。もっといろいろな視点から温泉を楽しめるようになるかもしれませんよ♪
※ご紹介した泉質それぞれの適応症や禁忌症は、代表的なものを記載しています。温泉施設を利用する場合は、掲示されている「温泉分析書」等を参照ください。
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