ふるさと納税の仕組みをおさらい
ふるさと納税は好きな自治体に寄附することで、自己負担額2,000円を超えた全額が所得税・住民税から控除される制度です。
納税者は寄付先の自治体を自由に選択でき、また多くの自治体が寄附後に納税者に「返礼品」と呼ばれるお礼の品を送ることから、メリットの多い制度とされています。
ふるさと納税後、所得税・住民税の控除を受けるためには、翌年の確定申告、あるいはワンストップ特例制度を忘れないようにしましょう。
なおワンストップ特例制度を活用するためには、確定申告不要の給与所得者が、寄付先を5団体以内におさえ、特例の適用のための申請書を寄付先の自治体に提出する必要があります。
ふるさと納税の限度額とは
ふるさと納税の寄附の上限額と税金の控除限度額を知るために、まずは総務省ホームページを参考にしてみましょう。
ふるさと納税で全額控除される寄附金額は、年収や家族構成によって異なります。
たとえば年収400万で、共働きの配偶者と未就学児の子供が1人いる場合の年間上限の寄附金額は42,000円です。
ただし、こちらの寄附金額の年間上限表は、住宅ローン控除や医療控除、配偶者控除、イデコなどが考慮されていません。
あくまでも目安であることに注意が必要です。
ふるさと納税の上限額&控除額の計算方法を確認!
ふるさと納税の上限額は、下記の計算式で求められます。
寄附の上限額=(個人住民税所得割額×20%)/(100%-住民税基本分10%-(所得税率×復興税率1.021))+自己負担金2,000円
ふるさと納税による税金の控除額の計算方法を把握しておけば、自分でも上限額を算出することが可能です。
基本の式は、こちらです。
税金の控除額=所得税分の控除額+住民税基本分の控除額+住民税特例分の控除額
計算方法を詳しくみていきましょう。
税金の控除額の計算方法
続いて、総務省のふるさと納税ポータルサイトを参考にしながら、ふるさと納税による税金の控除額を計算してみましょう。
① 所得税からの控除 =(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率×復興特別所得税率102.1%…税率は所得により変化。控除対象となるのは総所得の40%が上限です。
② 住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%…控除対象となるのは総所得の30%が上限です。
③-a 住民税からの控除(特例分) =(ふるさと納税額 - 2,000円)×(90%-所得税率×復興特別所得税率102.1%)…特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合
③-b 住民税からの控除(特例分) =(住民税所得割額)×20%…特例分が住民税所得割額の2割を超える場合
④住民税の申告特例控除額=③×所得税率×復興税率102.1%÷(90%-所得税率×復興税率102.1%)…ワンストップ特例制度を活用する場合
確定申告をする場合、①②③の合計が自己負担額2,000円をのぞいた額(控除上限額)となります。
住民税所得割額の2割を超えた場合には、③の特例分の計算式が(住民税所得割額)×20%となり、自己負担額2,000円をのぞいた全額控除ではなくなります。
また、ワンストップ特例制度を活用するときは、控除される対象が住民税のみで所得税の還付はありません。
そのため計算式が少し異なり、②③④の合計が自己負担額2,000円をのぞいた額(控除上限額)となります。
④があることにより、所得税分の控除を住民税から受けることができます。
なお税率や所得割額、あるいは計算方法などをしっかり確認したいときは、住んでる市区町村に確認してみるのが一番です。
実際の控除額は住民税決定通知書などで確認
実際に控除された額については、確認することが可能です。
所得税の還付は確定申告で申し出た指定口座に振り込まれます。
住民税の減税については、住民税決定通知書で控除額が確認可能です。
ただし、住民税の場合は、他の控除分が含まれていることもあるので、細かな内訳は住んでる自治体に問い合わせる必要があります。
ふるさと納税の限度額を超えた場合、どうする?
それではふるさと納税で限度額を超えた場合、対処する方法はあるのでしょうか。
損をしてしまうのかどうか、そんなところも気になりますよね。
全てが自己負担額になるわけではない
ふるさと納税が限度額を超えてしまった場合でも、限度額までは税金が控除されます。
そのため、全額が自己負担になってしまうことはありません。
限度額を超えてふるさと納税をしてしまったときの自己負担額は、2,000円+年間の限度額を超えた全額になります。
確定申告などをすれば、所得税・住民税の控除は受けられますが、控除される金額は限度額までとなるので、その点はご注意ください。
ワンストップ特例よりも確定申告がおすすめ
ふるさと納税で限度額を超えて寄附をした場合、ワンストップ特例よりも確定申告したほうが、自己負担額が減る可能性があります。
まず確定申告は所得税・住民税からの控除、ワンストップ特例は住民税のみ控除されます。
計算式はすでにご紹介していますが、限度額を超えたときに、住民税の申告特例控除額よりも所得税からの控除額のほうが高くなる可能性があるためです。
(限度額内であれば、この2つは同等額になり、確定申告の場合でもワンストップ特例制度の場合でも、自己負担額2,000円をのぞいた全額が控除対象になります。)
自治体の応援ができるのがふるさと納税♡返礼品も!
ふるさと納税で限度額を超えた場合でも、損をしたと捉えるかどうかは、あなた次第。
もともとふるさと納税の意義は、都道府県・市町村への寄附。
ふるさとや各自治体への応援を寄附という形で表明するわけですから、それは大なり小なりやがて地方創生につながります。
また、多くの自治体が寄附を受け付けた後、返礼品を送るというスタンスをとっています。
自分の応援したい自治体に寄附ができて、かつ返礼品をゲットできるとなれば、それだけでお得な感じもしますね。
あるいは、限度額を超えて自己負担額が増えたとしても、高額な返礼品ならば、普通に買うよりも安く買えるというレアケースもあるでしょう。
たとえば10万円が限度額の人が12万円の返礼品を申込んだとき、自己負担額は22,000円になりますが、返礼品が3万円程度(調達額が寄附金の3割と仮定)だとすると、普通に買うよりは安くなります。
考え方次第ですが、自分が納得できる方法でふるさと納税を利用しましょう。
ふるさと納税サイトの控除上限額のシミュレーションが便利
ふるさと納税をするにあたっては、上限額(限度額)を事前に確認することが大切です。
でも、ご紹介したような計算式に当てはめるのは少し面倒ですよね。
そんな時におすすめなのが、ふるさと納税サイトの控除上限額のシミュレーションです。
情報を入力することで、簡易的なものから詳細なシミュレーションを行うことができ、とても便利。
保険料や医療控除、住宅ローン控除などを含めた計算もできます。
ただし、ふるさと納税の年間の上限寄附金額は寄附を行った年の所得やその他の控除の有無などに応じて決まるため、ふるさと納税サイトのシミュレーターで算出される上限金額はあくまで目安として捉えておきましょう。
また、年収が予想よりも低くなる場合、あわせて限度額も変わります。
寄附後はキャンセルができないので、所得が変わる可能性がある人は、限度額をオーバーしないよう低めに算出しておくほうが安心です。
ある程度の年収がわかる12月の時点でふるさと納税の合計の金額を調整すると、限度額を超えた寄附をするという可能性は低くなるでしょう。
限度額を正しく理解してふるさと納税を楽しみましょう
ふるさと納税は、年収や家族構成などによって限度額が異なります。
計算式が苦手という方は、ふるさと納税サイトなどのシミュレーションを利用してみてくださいね。
また限度額を超えないようにすることも重要ですが、限度額がわかれば、より計画的にふるさと納税を楽しめます。
正しい限度額を把握して今年もふるさと納税を賢く行いましょう♪
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