ピラティスとヨガの成り立ち
ピラティスとヨガはよく似ていて、その違いをはっきりと知っている方はそう多くはいないでしょう。
ここではまず、ピラティスとヨガ、それぞれの成り立ちをご紹介します。
ピラティスとは「リハビリ用に考案された運動」
ピラティスとは、ドイツ人看護師であるジョセフ・H・ピラティス氏が考案したエクササイズです。
第一次世界大戦で負傷した兵士や収容されていた人々に、リハビリ用に開発した運動方法を教えたことが始まりといわれています。
リハビリのための運動なので、怪我をしている人や体力の落ちている人でもできるように、身体への負担が少なく、インナーマッスルを鍛えるようなエクササイズになっていることが特徴です。
ピラティスは現在、ダンサーやスポーツ選手をはじめ、医療現場やシニア向け施設など、幅広く取り入れられているエクササイズです。
ヨガとは「心の安定を目的とした修行」
対してヨガとは、ポーズ(アーサナ)と呼吸法(プラーナヤーマ)を使った身体技法です。
古代インド発祥の修行法のひとつで、3000年以上も実施されている歴史ある訓練です。最も古いヨガの教本『ヨガ・スートラ』では、「ヨガとは心の作用を抑止すること」と定義されています。
1600年ごろには「力強いヨガ」という意味のハタ・ヨーガがうまれ、そこからさまざまな流派ができていきました。
現代では心身の健康のためのエクササイズ要素が強くなっていて、世界中でポピュラーな運動方法になっています。
ピラティスとヨガの違いとは?
成り立ちの全く異なるピラティスとヨガですが、ほかにはどのような違いがあるのでしょうか。
次は具体的な違いをチェックしましょう。
違い①目的
リハビリがベースになっているピラティスの目的は、「健康的な体作り」です。
インナーマッスルを鍛えたり、身体の歪みを正しい位置へ整えたりして、体幹を安定させます。そうすることで、ボディラインや姿勢が美しく整うことにも繋がるのです。
一方ヨガの目的は、「心身を整える」ことです。瞑想と呼吸法で体・心・魂を結び付け、心身を安定させます。
痩せることやスタイルの維持よりも、心をコントロールして精神的な安定を目指すことが本来の目的です。
違い②運動方法
よく似ているイメージのある運動方法ですが、実はまったく異なります。
ピラティスは常に動きながらトレーニングするのに対し、ヨガはポーズをとり止まった状態になる運動です。
またピラティスには、『マットピラティス』と『マシンピラティス』があります。
マットピラティスはヨガのようにマットの上で行うもので、マシンピラティスは専用のマシンを使って行うピラティスです。特徴や効果の異なるマシンを、目的に応じて選びます。
違い③呼吸法
ピラティスとヨガは、呼吸法も異なります。
ピラティスは、胸式呼吸という胸の周辺を使う呼吸法で行なわれます。
息を吸うときに肺を横に広げるように膨らませる方法で、身体を活性化させることができます。筋肉が動きやすくなる・リフレッシュした気分になることがメリットです。
対してヨガでは、身体をリラックスさせるための腹式呼吸を取り入れています。副交感神経が優位になり、瞑想の状態に導きます。
違い④効果・メリット
目的の異なるピラティスとヨガですが、その効果は共通点が多くあります。
ピラティスもヨガも、柔軟で健康的な身体を作ることができます。また、呼吸法によるリラックス効果も期待できるでしょう。
また体型が変わった実感を早い段階で得やすいのは、どちらかと言えばピラティスのほうかもしれません。
インナーマッスルを鍛えることで基礎代謝量がアップするため、痩せる効果も期待できます。
ヨガは精神面で安定する効果があるため、睡眠の質が向上したり、ストレスによる不規則な生活を改善できたりというメリットもあります。
ピラティスとヨガ、効果が出るまではどれくらい?
ピラティスとヨガの違いがわかったところで気になるのは、効果が出るまでの期間ではないでしょうか。
レッスンの頻度や個人差もあるため一概には言えませんが、ここでは一般的に効果が表れる時期をチェックしましょう。
ピラティスは半年前後
ピラティスの効果が体型の変化だとすると、週に1回のレッスンをしたとして効果が出るまでには半年前後かかるでしょう。
考案者のピラティス氏は、“10回やったら違いを感じ、20回やったら違いが目に見え、30回やったらまったく別の身体にうまれかわるでしょう。”という名言を残しています。
効果が出るまで、焦らず自分のペースで続けることが大切です。
ヨガは約3ヶ月
身体の柔軟性が高まったり姿勢が改善されたりといったヨガの効果は、約3ヶ月で表れます。
基礎代謝量がアップしてダイエット効果も期待できるでしょう。
でも、ヨガを1回するだけでも、精神を落ち着かせて心を穏やかにするメンタルヘルス効果はあるといえます。
ピラティスもヨガも、正しい方法で集中して行ない、習慣化することが大切ですよ。
どっちがいいか迷う!選び方のポイント
「ピラティスとヨガの違いはわかったけど、どちらを選べばいいの?」と迷う方は多いかもしれません。
最後にそれぞれに向いている人・向いていない人をチェックして、自分にはどちらが合うのかを選んでみてくださいね。
ピラティスに向いている人・向いていない人
ピラティスが向いているのは、以下のような方です。
- 健康的な身体づくりをしたい人
- エネルギッシュな運動が好きな人
- 運動を習慣にしたい人
- 体幹を鍛えたい人
- 運動してリフレッシュしたい人
- ボディラインを整えたい人
ピラティスは元々リハビリのための運動なので、初心者でもチャレンジしやすいといえます。「あまり運動する習慣はなかったけど、体を動かすことは嫌いではない」という方も楽しめそうですね。
また、ピラティスにはヨガのエッセンスも取り入れられているので、どちらも興味がある方はピラティスをやってみると良いかもしれません。
ゆっくりと体を動かしたい方やリラックスしたい方には不向きといえそうです。
ヨガに向いている人・向いていない人
一方でヨガは、以下のような人に向いているといえます。
- 心も身体も整えたい人
- ストレッチが好きな人
- 瞑想に興味がある人
- リラックスしたい人
- 柔軟性を高めたい人
日常生活でストレスを感じていて、「リラックスしたい」または「何も考えないで頭を空っぽにしたい」という方は、ヨガを選んでみると良いかもしれません。
そして体をアクティブに動かす運動よりも、ストレッチのような気持ちよさを感じる運動が好きな方にもおすすめです。
また、「体が硬いからヨガは向いていないかも」と心配する方も多くいるかと思います。でも自分のできる範囲でやればOKなので、気にする必要はありません。
少しずつ柔らかくなっているのを感じられることも、ヨガの楽しさのひとつですよ。
反対に体を動かすことでストレスを発散したい・できるだけ早く身体を引き締めたいという方には、ヨガではなくピラティスをおすすめします。
迷ったらピラティスもヨガもトライ!
ご紹介したように、ピラティスとヨガにはさまざまな違いがあります。でも共通点も多くあり、どちらも初心者が始めやすいことが魅力です。
ピラティスもヨガも人気のあるエクササイズなので、スタジオやオンラインレッスンが豊富にあります。
両方とも体験レッスンを受けてみてから決めても良いですし、どちらも始めて気分で使い分けるのも良いでしょう。
大切なのは継続することです。ぜひ自分に合った方法を選んでみてくださいね!
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