妊娠中に生理のような出血が!そもそも妊娠中に生理はくるの?
「妊娠したかも?」「妊娠検査薬で陽性反応が出たばかり」
そんな妊娠超初期・妊娠初期に体に起きる変化は、特に初めての妊娠では不安になるものです。
二回目以降の妊娠でも、前回とは違う体の変化が起こって戸惑うことも。
妊娠中に生理のような出血や、腹痛・微熱などの症状が見られた場合はなおさら。
流産したのでは?と心配になってしまいますよね。
妊娠確定前のタイミングから妊娠初期・中期まで、出血などの気になる症状にはちゃんと原因があります。
そもそも妊娠すると生理はこないので、妊娠中に生理のような出血が続いたり、もし妊娠していなかったのに生理以外の出血がある場合は、他の原因も疑うべき。
治療が必要があるケースもあるので、早めの受診がおすすめです。
妊娠中の出血の考えられる原因とは?
出典:www.shutterstock.com妊娠中に生理のような出血が見られる原因は、妊娠周期によって異なります。
心配のないものだったり、病気が隠れていることもあるので、早めの対処が必要です。
妊娠中の出血にはどんな原因があるのか、時期別に確認しておきましょう。
妊娠超初期の出血
妊娠超初期の出血のおもな原因として、着床出血があります。
着床出血とは、子宮内膜に受精卵が着床するときに起こる出血のことです。
妊娠中に必ず起こるとは限りませんが、出血する時期が生理の時期とほぼ同じなので区別がつかないことも。
生理との違いは、着床出血はピンクや茶色のおりものや少量の出血が2、3日見られ、生理の出血よりも期間が短いことが特徴です。
妊娠初期の出血
妊娠初期に生理のような出血が続く場合、おもな原因として子宮外妊娠・胞状奇胎・切迫流産・流産があります。
- 子宮外妊娠
受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまうことです。少量の出血や下腹部のけいれんや痛みなどの症状がありますが、なかには無症状の人もいます。 - 胞状奇胎
受精卵が着床する際にできる“絨毛”が、異常に増殖してしまうことです。精子と卵子の受精の異常で起こるといわれ、出血やつわりが強くなることもあります。 - 切迫流産
流産の危険がある状態のことです。少量の出血と軽い腹痛などがありますが、まだ赤ちゃんはお腹の中で生存しているので、適切な治療によりそのまま妊娠を継続できる可能性があります。 - 流産
妊娠22週未満に赤ちゃんが亡くなることをいいます。鮮血または暗赤色の出血があり、子宮が収縮して腹部にけいれんのような強い痛みが起こります。
他にも、妊娠とは関係のない原因もあります。
子宮腟部びらんや子宮頚管ポリープ、無排卵性月経など、炎症や性器の傷、腫瘍やホルモン異常などによっても不正出血が見られることも。
いずれの場合も、すぐに医療機関を受診して早めの治療を受けましょう。
妊娠中期の出血
妊娠中期の出血のおもな原因は、切迫早産であることが多いようです。
切迫流産の症状として、少量の出血、お腹が張るような緊満感、軽い下腹部痛、腰痛などがあげられます。
安静にするなどの治療で妊娠を継続できる場合が多いですが、腹痛が激しくなったり、生理のような出血が続いたりしたら、夜間や時間外であっても受診するようにしましょう。
妊娠中の生理のような症状と生理の違い
妊娠中にもし出血などの生理のような症状が見られた場合、出血の色や量、期間、その他の症状で見分けられる場合もありますが、個人差もあるので自分で判断するのは大変危険です。
出血が続くようなら必ず医療機関を受診し、気になることがあればすぐに医師に相談しましょう。
そもそも女性に生理がくるのはなぜ?
生理とは、赤ちゃんができなかったとき、いらなくなった子宮内膜が出血をともなって、毎月体外へ排出されることです。
赤ちゃんをつくるのに必要な卵胞というものが、約一ヶ月の周期で一つずつ排出されるようになりますが、これを排卵といいます。
排卵が起こると、受精卵を着床しやすくするように子宮内膜をフカフカに膨らませます。
このときに妊娠が起こらなければ、古い子宮内膜は壊されて、血液と一緒に排出されます。これが生理のメカニズムです。
排卵後に卵子と精子が出会うと、受精後7日目ぐらいに子宮内膜に受精卵が着床し、妊娠に至ります。
生理前・生理中に見られる症状
生理前や生理中は、女性ホルモンの変化により、体も心も不安定になる時期です。
排卵後〜生理前は、黄体ホルモンが増えることにより、下腹部痛、乳房の張り、吐き気、頭痛、肩こり、腰痛、下痢、むくみ、肌あれなどの不快な症状が起こる人も少なくありません。
生理前の不快症状のことをPMS(プレ・メンストラル・シンドローム=生理前症候群)といい、生理がはじまると症状が落ち着くのが特徴です。
生理になると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌が減少しますが、下腹部痛、腰痛、吐き気、イライラ、頭痛、貧血、だるさ、むくみ、肌あれなどの不快な症状が起きやすい時期でもあります。
痛みに耐えられないなど症状がひどい場合は、病気が隠れている可能性もあるため、病院の受診がおすすめです。
生理のような出血とその他の気になる妊娠中の症状
妊娠中の生理のような出血は、その量や色などによって原因はさまざまです。
出血が少量の場合は様子を見てといわれることもあると思いますが、どのくらいが少量なのか判断が難しいものです。
妊娠初期の場合、
- ティッシュにつく程度
- おりものに混じる程度
- 期間が2~3日
- 色が鮮血、茶、薄いピンク
この程度の少量の出血であれば、着床出血が原因である可能性が高いでしょう。
注意が必要な出血として、
腹痛とともに、赤黒いレバー状のような塊の出血があれば流産が心配されます。
生理並みの出血や、少量でも出血が続いて止まらない場合も何らかの原因が隠れている可能性があります。
出血だけでなく、腹痛や吐き気、微熱など生理痛のような症状がある場合は、すぐ受診先の医師に伝え、正しい診断をしてもらうようにすることが大切です。
妊娠で生理が止まるタイミングと産後の生理再開について
妊娠中には生理がこないことが分かりましたが、無事出産が終わってから、生理が再開する時期には個人差があります。
不正出血の症状なのか、生理なのかの判断ができるように、いつからいつまで生理が止まるのかしっかり確認しておきましょう。
妊娠で生理が止まるタイミング
生理が止まることから妊娠に気付く人は多いですよね。
いつから判断できるかというと、生理予定日から1~2週間過ぎても生理がこない場合、妊娠の可能性があります。
最後にあった生理の開始日が0週となるため、生理周期が28日の人なら、生理が1週間遅れて妊娠がわかった場合、妊娠5週目となります。
出産予定日は基本的に40週目になりますが、最近では胎児の大きさから出産予定日を割り出し、妊娠週数を算出する方法が採用されています。
いつも周期的に生理がきている人なら判断しやすいですが、生理不順の場合はわかりにくいことも。
日頃から生理アプリなどで記録して、生理周期を把握しておくと良いでしょう。
出産後の生理再開はいつ?
出産後の生理再開の時期は人それぞれです。産後2ヶ月で再開した人もいれば、産後2年たっても生理が再開していない人も!
生理の再開はホルモンバランスの変化が大きく影響し、一般的に授乳期間が長いほど生理の再開時期も遅くなるといわれています。
授乳をしていない場合は産後数ヶ月で生理が再開し、授乳をしている場合は授乳が終わってから生理が再開するなど、生理と授乳は大きく関係しているといえます。
ただし、授乳をしているからといって生理が再開しないというわけでく、授乳回数や排卵や生理を抑制するプロラクチンの数値の低下などによって生理が再開することもあります。
妊娠中に生理のような症状が現れたらすぐに適切な行動を!
妊娠中は生理がないため、たとえ少量であっても出血があると誰でも不安なものです。
気になる症状があれば、自己判断せずに、ささいなことでも医師に相談すると安心ですね。
正しい知識を持って、無事出産を迎えましょう!
監修◆高橋しづこ(たかはししづこ)
産婦人科医
産婦人科専門医、臨床遺伝専門医、医療倫理学博士のライセンスを持ち、39歳で第1子、41歳で第2子、43歳で第3子を出産して3人の子をもつ母。 自身の高齢不妊や妊娠、出産の経験から、患者の心に寄り添うことをモットーとしている。
書籍『せかいがかぜをひいたから』オリジナル絵本サイト「YOMO」にて2020年8月公開
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