「社会保険料」は誰が・どのように払うもの?
働く時間ができた妻がパートを始めても、給与収入が年間130万円未満の場合、妻は会社員の夫の扶養のままです。
では、130万円を越える場合には、どうなるのでしょうか。
妻の給与収入が年間130万円以上になると、社会保険は夫の扶養を外れて、自分で社会保険料を納めることになります。
この時、「妻の社会保険料は、妻のパート先の給与から天引きされる」と思っていませんか?
実は、必ずしも給与天引きとはならないのです。
「社会保険料」を納める方法
仮に、従業員(正社員とパート)100人の会社で時給1,100円、週25時間、通勤手当月10,000円で働くと想像してみてください。
月収は12万円、年間収入は144万円です。
この場合、いくらの社会保険料を、どのような方法で納めると思いますか?
給与収入144万円で働いて夫の扶養から外れ、自分で社会保険料を納める場合には、パート先の会社に厚生年金制度があるかないかによって納め方が変わります。
・会社に厚生年金制度がある場合
会社で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します。会社が社会保険料を半分負担するため、あなたが納める社会保険料は、年間約20万円です。給与から天引きされます。
・会社に厚生年金制度がない場合
保険料は年間約31万円となり、受け取った給料から自分で国民健康保険料・国民年金を納めます。
つまり、夫の扶養を外れても、パート先で社会保険に加入できないと、自分で国民健康保険・国民年金に加入しなければなりません。
同じパート収入でも、会社の社会保険に加入できるかできないかにより、納める社会保険料が約11万円も変わるため、家計にとっては負担です。
同じ「妻の給与収入が年間130万円以上」の場合でも、夫の社会保険の扶養から外れて、パート先の社会保険に加入することではない場合があるので、注意しましょう。
年収106万円でも「社会保険」に加入?
「妻の給与収入が130万円」というのが分岐点だった社会保険ですが、2016年10月から、給与が月8.8万円以上ならパートでも社会保険に加入する制度ができました。
ただし、現在この制度は、大企業(従業員501人以上の会社)が対象です。
2017年4月から、大企業でなくても、会社と働く人が合意すると社会保険に加入することができるようになります。
ここでまた、計算をしてみましょう。
従業員100人の会社で週25時間、月収12万円で働く場合を例に挙げると、社会保険のカギを握るのは「働く場所」と「働く時間」です。
・働く場所
従業員数が100人の場合は、給与が8.8万円以上であっても社会保険の加入義務はありません。
つまり、社会保険に加入せず夫の扶養からも外れ、自分で国民健康保険、国民年金を納めることになります。
・働く時間
従業員が500人以下の会社には、正社員の4分の3未満の時間数で働く人を社会保険に加入させる義務はありません。
正社員の働く時間が週40時間とすると、4分の3は30時間です。
そのため、週25時間で働く人は社会保険に加入せず、夫の扶養からも外れて、自分で国民健康保険、国民年金を納めることになります。
これから働こうと考えている方はもちろん、今働いている方も、働く時間は同じでも、時給アップで年間収入が増えるかもしれません。
パートで働く場合は、社会保険料で損をしないために、「年収」「働く時間」「働く場所」を必ず確認しておきましょう!
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