助産師が語る!〈緊急帝王切開後のママの気持ち〉知っていますか?

Baby&Kids / Life style

「帝王切開」という言葉は、みなさん、ご存知かと思います。手術による出産方法で、赤ちゃんの5人に1人は帝王切開で生まれてきている、と言われています。

帝王切開は、逆子の赤ちゃん、合併症のあるママなどに適応されますが、ママや赤ちゃんの体調が芳しくない時に緊急に行われることもあります。

今回は、助産師である私が、緊急帝王切開で出産したママの気持ちについてお話したいと思います。

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緊急帝王切開後のママの気持ちとは?

「私が帝王切開になるなんて、思ってもみなかった。」

「手術に納得できない。なにが起きたかわからない。」

「思い描いていたお産ができなかった。」

「帝王切開だから、お産の振り返りをしてもらえなかった。」

「また同じことがあるかもと思うと、妊娠するのが怖い。」

「痛くないお産でよかったわね、と言われた。」

緊急帝王切開後のママは、自然分娩で子どもを出産できなかったことへの失望感、葛藤、失敗感、怒りなどを感じてしまう場合があります。

他にも、自然分娩で分娩できなかったことによる夫に対する罪悪感、帝王切開になってしまった責任からの罪責感、退院後の生活能力についての不確実さ、傷についての心配、帝王切開を十分に説明してくれなかったことに対する医療者への怒りなど、様々な感情が複雑に絡んで、落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。

緊急帝王切開後のママ「私、自然なお産がしたい。」

Oさんは、自然なお産を目指して、運動や食事に気を付けながらも、ご家族や友人とマタニティライフを楽しんでいました。

「私、自然なお産がしたいんです。そして、元気な赤ちゃんを産みたいです!」と語っていました。

陣痛が始まり、いざ産院へ!
ご主人と一緒に廊下を歩いたり、スクワットしたり、腰が痛い時はさすってもらったり……。

しかし、陣痛が来るたびに下がる赤ちゃんの心音。「これ以上の陣痛には、この子は耐えられない。」スタッフみんながそう思いました。

Oさんに赤ちゃんの状態を説明して、緊急帝王切開を提案しました。

「緊急帝王切開?そんなの聞いていない!痛みを感じてこそ、母。陣痛を乗り越えて母親になりたいんです。」Oさんの目から涙が溢れていました。

Oさんのような気持ちを抱えたままだと、お子さんが生まれてから、前向きに育児に取り組むことができなくなってしまうかもしれません。

また、最初にご紹介したように、緊急帝王切開を受け入れることができないと、次の妊娠への恐怖感にもつながる危険があります。

では、どうすればよいのでしょうか?

緊急帝王切開ママの気持ちをポジティブに変化させるには?

一般的に産院では、先生からの手術前後の説明、スタッフとの出産体験の振り返りをして、「帝王切開だから、生まれてこれたんだ。帝王切開でよかったんだ。」と、帝王切開を選んだことをママが納得できるまでお話します。

私たち助産師は、術後すぐにママと赤ちゃんが対面できるようにしたり、ママの体調に合わせた授乳や、育児行動のサポートを行っていきます。

緊急帝王切開を経験したママが、「帝王切開でよかった」と思えるためには、体験を〈客観的に捉えること〉も大事です。

そして、客観的に捉えるためには、同じ体験をした誰かと話すことが効果的です。入院中、同じ体験をしたママ同士が話す場を作ったり、退院後に帝王切開ママの会に参加することもオススメです。

同じ体験をした方と話すうちに、緊急帝王切開をした自分を客観的に見つめ直すことができて、肯定的に捉えることができるようになっていきます。

緊急帝王切開での出産体験による否定的な感情が少しでもあるのであれば、意識して、肯定的な感情に変化させていくことが大切なのです。

いかがでしたか?緊急帝王切開ママにとって、体だけでなく、心のケアも大切です。「痛くないお産でよかったわね」などの悪意のない言葉に傷つくママも少なくありません。

『帝王切開は出産方法の1つ』という認識をもち、「無事に生まれてよかったね。おめでとう。」と、当たり前に周りの方が声をかけてくれる、そんな世の中になることを祈っています。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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