災害時の授乳・母乳トラブルは他人事ではない!
突然発生した災害時。
ひとまず命の安全は確保できたとしても、避難先での生活や、避難所に行かず自宅で過ごす際でもガスや水道、電気がこなければ生活に不便が生じます。
特に、ミルクを飲む赤ちゃんのいるご家庭で起こりうる問題が母乳やミルクの確保です。
不安やストレスが大きい災害時。
ママがストレスが原因で母乳が出なくなってしまうこともありえます。
また、普段から粉ミルクで育児している場合も、お湯が沸かせずミルクがあげられない。
「哺乳瓶の消毒ができなくても大丈夫なの?」
「もらい乳ってお願いできるものなの?」
などなどたくさんの不安や悩みが生じることでしょう。
災害時は、スマホの電源を確保できなければ、疑問を調べる心と資源の余裕がないこともあるかもしれません。
流し読みでもいいので、災害時の授乳について考える機会を持っておくことは、いざという時のためにも役立ちますよ。
母乳・授乳の災害時トラブルケース
①「哺乳瓶の消毒ができない!」
避難場所などでなんとか粉ミルクを溶かすお湯が確保できたとしても、哺乳瓶を煮沸消毒できないことから「衛生的にミルクをあげられるのかわからない……」と不安を感じることもあるでしょう。
東日本大震災発生時に日本母乳哺育学会・日本母乳の会・NPO 法人日本ラクテーション・コンサルタント協会の3団体が共同でまとめた「災害時の乳幼児栄養に関する指針」によれば、粉ミルクによる授乳は紙コップでも代用できるそうです。
使い捨ての紙コップであれば、煮沸できない哺乳瓶よりも衛生面では安心。
紙コップを使ったミルクのあげ方は覚えておくといいでしょう。
《紙コップを使った授乳方法》
① 赤ちゃんが完全に起きているタイミングを選びましょう。
② 赤ちゃんの体が起きるように膝の上で縦抱きになるように抱っこします。
③ ミルクを入れた紙コップが赤ちゃんの唇に軽く触れるように当てましょう。
④ ミルクが赤ちゃんの下唇に触れるくらいまでコップを傾けます。
⑤ 赤ちゃんの口にミルクを注ぎ込むのではなく、赤ちゃんが自分で飲むようにその位置をキープします。
赤ちゃんはお腹いっぱいになれば自然とミルクは飲まなくなります。
また、最近では使い捨ての哺乳瓶も災害時用に発売されています。
災害セットとして揃えておいてもいいかもしれません。
母乳・授乳の災害時トラブルケース
②「母乳が出なくなった!」
災害時の授乳は、完全栄養や母乳に免疫機能を高める成分が含まれていることなどから、できれば母乳で対応するのがベターです。
とはいえ、突然の災害で不安やストレスを感じているのはママも同じ。
慣れない環境やストレス、疲れなどで母乳が出なくなってしまうこともあります。
でも、だからと言って焦らなくても大丈夫。
今まで母乳が出ていたのであれば、ストレスなどによってミルクが出なくなるのはあくまでも一時的なことが多いようです。
リラックスするように心がけたり、出なくても赤ちゃんにおっぱいを含ませてあげるだけでまた出るようになることも。
赤ちゃんがおっぱいを吸うだけで、ママの気持ちも落ち着くことがあるようです。
避難所で人の目が気になるなら、赤ちゃんがおっぱいを口に含むまで、毛布などをかぶれば周囲からの目線も避けられます。
避難先で十分な食事をママが食べられなかったとしても、母乳は赤ちゃんが必要とする成分や栄養がしっかりと詰まった完全栄養食。
できるだけ母乳が出るように、チャレンジしてみましょう。
母乳・授乳の災害時トラブルケース
③「お湯がなくて粉ミルクが作れない!」
母乳がベストとはわかっていても、どうしても母乳が出ないということも。
また、粉ミルクと水はあっても電気やガスが通っていないためお湯が確保できずミルクが作れないこともあるでしょう。
災害への備えとして、こうした事態でも慌てないようにカセットコンロを常備しておくと安心です。
厚生労働省のガイドラインでは、70度以上のお湯での調乳が定められているため、ぬるま湯などでの調乳は避けるようにしてください。
参考:厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて」
また、液体ミルクの場合は、「携帯用カイロ」で温めることができます。
携帯用カイロを使う際には、
① カイロを容器の周りに巻き、タオルで保温するためにくるみます。
② その後、上下左右に動かし、ミルクが均一に温まるようにしてみましょう。
カイロは冬場の災害時もあると便利な防災グッズです。
いつも多めに用意しておくと安心ですね。
母乳・授乳の災害時トラブルケース
④「お風呂に入れないから母乳はやめたほうがいい?」
母乳は出るし、赤ちゃんも食欲がある。
でも、お風呂に入れないし清浄綿がないので、お乳を赤ちゃんに含ませて大丈夫だろうか?
衛生的な観点で、心配になることもあるかもしれません。
避難生活でお風呂に毎日入れない日々が続いたとしても、おっぱいを赤ちゃんに飲ませてあげることは基本的に大丈夫です。
ママのおっぱいは乳頭の周りにあるモントゴメリー腺と呼ばれる場所から最近が繁殖しないように防ぐ成分が分泌されています。そのため、特に清浄綿などで拭かなくてもおっぱいを飲ませてあげること自体は衛生面で問題はありません。
できるだけ汚れた指や手で乳頭は触らないように注意しましょう。
母乳・授乳の災害時トラブルケース
⑤「もらい乳ってどうなの?」
今まで母乳で育てていたのに、震災のストレスで母乳が出なくなったとき。
代替手段として用意したミルクも飲んでくれないと、ママとしては途方に暮れてしまいますよね。
避難先でお腹が減って泣く我が子を抱っこしながら、周囲の目を気にする。そんな時間が多くなれば、より一層不安やストレスも募ってしまうでしょう。
母乳が出なくなったとしても、もし周りに授乳中のママがいれば相談してみたいのが「もらい乳」です。
もらい乳は、お願いする方も、お願いされる方も最初は抵抗があることかもしれません。
でも、遠慮で赤ちゃんの健康や命を危険にさらしてしまうことは果たして正解でしょうか?
大変な時ほどお互いで助け合うことが災害時ほど大切です。
ましてや、同じ赤ちゃんのいるママ同士。
助けを求めれば、気持ちをわかってもらえて、同じ境遇にいる者同士、不安や心配を打ち明けあい、助け合うことだってできるかもしれません。
ぜひ、勇気を出してお願いしてみましょう。
災害時のために備えておきたい!授乳・母乳育児アイテム
授乳ケープとしても使える大判のスカーフは避難先でも何かと使えるアイテムです。
授乳中の人目を避けるための授乳ケープに。
赤ちゃんを包むおくるみに。
避難先でプライベート空間を確保するためのカーテンとして。
寒い日のブランケットとして。
など、あると使い道広がる大判ストールはぜひ防災セットに用意しておきましょう。
粉ミルクだけでなく、粉ミルクを作る際に必要となる、ミルク用の水も用意しておきたいところです。
最近では500mlペットボトルで発売されていますので、防災グッズにぜひ加えましょう。
和光堂 ベビーのじかん 赤ちゃんの純水 500ml
¥89
哺乳瓶が消毒できなくても、使い捨てなら衛生的にも安心です。
最近では、お出かけ先用の哺乳瓶として、こんな使い捨てタイプの哺乳瓶もいろいろなメーカーから発売されています。
個包装になっていて、持ち運びしやすいコンパクトタイプがほとんど。
ミルクを防災グッズに加える方は、プラスしておくといいでしょう。
おでかけ用ほ乳ボトル chu-bo! 4個入り
¥1,320
いつ起こるかわからない震災。
災害時にも大切な我が子を守るために、授乳や母乳に対する防災意識を高めていきましょう!
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