緊張するのは「良いこと」?
人前でスピーチや自己紹介などをする時、緊張しますか?
「緊張する!」と答えた方は、正常です。講演会やセミナーで同じ質問をしても、9割の方が手を挙げます。
スピーチは、初めての場所で、初めての相手から多くの視線や注目を集める行為です。
「大勢の知らない人VS自分」という状況を、人間は動物的に「敵に囲まれている状況」と判断してしまいます。
そうすると、人は無意識に戦闘態勢に入ります。筋肉に力が入り、呼吸や心拍が早くなり、血流や発汗が促され、「戦える態勢」になってしまいます。
ドキドキする、汗をかく、顔が赤くなる、呼吸が苦しくなる……などの緊張状態は、「戦える態勢」になることから起こるのです。
この状態を「いやなもの」と捉える方が多いのですが、実は「良いもの」。なぜなら意識を集中させ、目の前のことを成功させるために、緊張モードに入っているからです。
緊張しない状態、脱力状態では、自然体すぎて、却ってだらしないスピーチになってしまうでしょう。
《人前で話す時のコツ1》「ソ」のトーンで話す
緊張状態にありながら、これさえ守れば誰でも上手なスピーチができる「3つのコツ」があります。
ルール1 「ソ」のトーンで話す
~ドレミファソラシド♪~と歌ってみてください。
ご自分の声の「ソ」の高さの音を確認しましょう。その声が、スピーチの第一声に最もふさわしい声です。
普段の声の高さより高いと思われましたか?
「ソ」の高さは、地声の中で最も高い声です。「ラ」「シ」……となると、裏声になってしまいます。頑張って出す、一番高い自分の声が「ソ」の高さです。
なぜ、スピーチの第一声は、高い声が良いのでしょうか?
・人は明るい気分の時に、高い声が出る。
・人の注目は、高い声の方が集めやすい。
・年配の方より、若い方の方が概して声が高い。
このような理由から、高い声には「明るく若々しい、人の注目を集めやすい」という特徴があります。高すぎても良くありませんが、いつもより少し高めの声で話し始めると良いでしょう。
《人前で話す時のコツ2》笑顔の口で話す
スピーチのルール2 「笑顔の口で話す」
笑顔の口とは、あいうえおの「え」の口の形です。上の歯一列がきちんと見えて、口角があがり、キレイな逆三角に開いた口です。少女マンガの笑顔の口のような感じですね。
私たち女性アナウンサーは、番組中、笑顔でいることが多いイメージだと思います。きちんと口を開けて、印象の良い発音を心がけているので、自然とそうなるのです。
笑顔の口を定位置にして話す癖をつけると、こんなメリットもあります。
・表情の印象が良い
・音の印象が良い
・口がきちんと空くので聞き取りやすい
笑顔の口から出る音は、笑顔の表情をしています。これを「笑声(えごえ)」と言います。
《人前で話す時のコツ3》声とテンションを3倍にする
スピーチのルール3 「声とテンションを3倍にする」
緊張すると、筋肉が硬直するので、スムーズに声も出にくくなります。そういう時は、深呼吸して胸や肩を脱力し、呼吸ができるようにしましょう。
そして、声の大きさはいつもより3倍は出すつもりで、息を吐き出しながら話しましょう。
これを、腹式発声(ふくしきはっせい)といいます。「声は息に音を乗せる感覚で」発声します。歌を歌う時に似ていますね。
それから、「伝えたい」という気持ちも3倍に高めましょう。
私たちアナウンサーがリポートなどをする時、例えば「美味しい」と伝えるために、独り言で「美味しい」と言う時の3倍くらい気持ちを高めて「美味しい!」と言っています。
緊張すると心も硬くなってしまうので、気持ちも3倍盛り上げて、活き活きと話しましょう。
人前での話し方のコツをご紹介しました。
スピーチなど、人前で話すことは、プレッシャーでもありますが、多くの方に自分を知ってもらう良い機会です。苦手だからと控えめにせず、1歩前に出るつもりで魅力的に話したいものですね。
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