「そもそも子供が欲しくない。こんな私、変ですか?」
友人のA子さんは、IT関連企業に勤める結婚2年目の31歳。
DINKS仲間との女子会で常に盛り上がる「出産リミット」の話題にあまり興味を示さずにいた彼女がある時に放った言葉に、私は深く考えさせられました。
「実はあまり子供が欲しいとか、子供を産みたいと思えない。友達の出産には素直におめでとう、と思えるけど、自分の人生に(出産が)必要なことかと聞かれたら微妙なんだよね。」
そう語るA子さんは、その理由としてこう語っていました。
「純粋に今の仕事が楽しい。旦那とも上手くいってるし、気軽に海外に行けたり外食を楽しんだりする生活を捨てて、妊娠・出産して育休とかとって保活して……っていうのに自分の30代が費やされるのってどうかな、って思っちゃうんだよね。
子供は嫌いじゃないんだ。友達夫婦の子供と遊びに行ったりもするし。でも、この自由気ままな生活を手放してまで欲しいか?と聞かれたらノー。」
ITベンチャー企業でプロジェクトマネージャーを任され、家賃を折半している夫とも仲が良く、公私共に充実した日々を送るA子さん。
妊娠・出産・子育てで今の幸せのバランスが崩れてしまうのが怖い、とも話してくれました。
「早くお母さんになりたい!」けれど……
また友人のB美さんは、今すぐにでも妊娠したいと考える、年下夫を持つ33歳。
仕事は役員秘書ですが、キャリアに対して特に未練はなく、早く"幸せなママ"になりたいと考えているそう。
ですが、そんなB美さんのシンプルな願いが叶わない複雑な事情が……。
「とにかく、私は仕事も辞めたいし早く妊娠したいのに、夫の方が『まだいいじゃん』と全然子作りに積極的じゃない。
3つ下でまだ30歳だからなのかもしれないけど、私はあなたと違って出産リミットもあるのに!と常にイライラしちゃう。そんなんだから夫婦生活もすれ違いが多くて、悪循環なんだよね。」
空回る「お母さんになりたい」という想いは、夫婦関係をますます悪化させる"ある出来事"に発展しました。
「とにかく妊娠したくて、排卵日をチェックして夫の帰りを待っていたのに、帰ってこなくて。変なプレッシャーをかけたからか飲み会に行っていたの。で、もちろん大喧嘩して、修復には時間がかかりそう。」
お互いの意向が合わないうえに、出産リミットに対するプレッシャー。
B美さん曰く、夫が好き勝手に転職をしたり、趣味に大金を投じるのにも不満があるのだとか。
「本当に自分自身の気持ちなのかな?」という自問自答が続く毎日……
最後に、私のケースをお話しさせてください。
2年ほど前に結婚し、色々ありましたが今は夫婦円満に過ごしています。
勤めている会社も安定しているし、お給料も悪くありません。仕事にもやりがいを感じていますし、夫も完璧な人間とは言えませんが「離婚したい!」と思うこともありません。
もちろん子供もいつかは、と思っています。夫は4つ上で、いつでもいいよという姿勢でいてくれるので、逆に何をためらっているんだ、と思われるかもしれません。
実際に、仕事が落ち着き始めたので、やっと「妊活」しようかと思っているところです。
ですが、なんというか「子供、欲しいんでしょ?なんで早く作らないの?」という世間の空気に反発していたところもあります。
結婚した直後から「子供は?いつ作るの?」とか、結婚して1年経つころは「子供欲しくないの?どうするの?」という質問を受け続け、双方の両親からもプレッシャーをかけられていました。
そこまで聞かれてしまうと、「どうして、みんながみんな子供を今すぐ作りたい前提で話すんだろう?」と疑問になってしまい、価値観を強要されているようで、本当の自分の気持ちと向き合いづらかった、というのはありますね。
最近は、ようやくそうした声から自由になれましたが……。
今回ご紹介したケースの様に、子供が欲しくてもさまざまな事情で授かれない夫婦や、そもそも子供を望んでいない夫婦、お互いの意見が合わない夫婦など、DINKSにも様々な形があります。
人には、言いづらい理由もあり、自分たちなりに悩んで「これでいいのか?」と日々自問しています。
無邪気に「まだ子供作らないの?早いほうがいいよ~。」という言葉を投げかける前に、立場の違う相手の状況を少しでも思いやってくれたら……と感じることの多い現代日本。
DINKSの声をこうして届けることから、変わっていくのかもしれません。
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