「育児休業給付金」の基本
育児休業給付金について、まずは基本を押さえましょう。
いつまでもらえるの?▶︎
子どもが1歳になる前日までです。
保育園が見つからなかったら?▶︎
保育園が見つからない、配偶者が死亡、病気・ケガなどの特別な事情がある場合は、1歳6か月になるまでもらえます。
パートだけどもらえるかな?▶︎
正社員だけでなく、アルバイトやパートでも、雇用保険に加入していれば受け取れます。該当するかは人事に確認を。1週間の労働時間が20時間以上あるかどうかが目安です。
いくらもらえるの?▶︎
休業開始時賃金日額×67%(または50%)×支給日数
となります。(休業開始時賃金日額とは、育児休業を取る直前の6カ月の給料を180日で割った金額)
最初の6カ月間は67%ですが、それ以降は50%に下がります。
また、支払い額には上限もあり、月額284,415円(6ヵ月経過後は212,250円)以上は受け取れません。
育児休業の取り方によって異なる世帯収入とパパとママの協力体制
育児休業は、実は夫婦の働き方によって色々な取り方ができます。
夫婦で色々な育児休業の取り方を知り話し合うことで、できるだけ収入を減らさずに、且つ夫婦で協力しあえる働き方が見つかるかも知れません。
育休時にぜひ使いたい制度は、「パパ・ママ育休プラス制度」。
これは、ママもパパも育児休業を取れば、本来1歳の前日までしか取れない育休を1歳2か月まで取ることができるようになる制度(パパとママそれぞれが取得できる上限は1年間)のことです。
またパパについては、生後8週間以内に育休を取れば、一旦復職してからまたもう一度育休を取ることもできる制度です。
この制度を活用した育児休業の取得の例をみていきましょう。
育児休業の取り方4つのケース
パパ・ママ育休プラス制度も使うと、色々な形で育休を組み合わせられます。
1歳2ヵ月までにもらえるお金を含めた世帯収入を計算して、具体的にどう取得するのが自分たちに合っているか、イメージしてみましょう。
計算例での前提は、次のとおりです。
計算をシンプルにするために、復職後の月収はすべて一律、産後休業を2ヶ月(計算上は56日)としています。(月収=標準報酬月額と仮定)
(例1〜3:共働きの場合)
パパ:月収30万円 ママ:月収20万円
(例4:パパのみ働いている場合)
パパ:月収50万円
<例1>ママのみ育休取得
子どもが1歳になるまで、ママだけが育児休業を取得したケースです。
(産後8週間は産後休業になるため、それ以降の10カ月間が育児休業となります)
<産後休業給付>
ママ:20万円÷30日×2/3×56日≒24.9万円
<育児休業給付金>
ママ:20万円×67%×6カ月=80.4万円
20万円×50%×4カ月=40万円
<給与>
パパ:30万円×12カ月=360万円
育休中の世帯収入は505.3万円となりました。いわゆる一般的なケースですが、ママが一人で育児・家事・保活までこなす形と言えます。
パパが育休を取っていないため、1歳の前日までしか取得できません。
<例2>ママとパパが交代で育休を取るケース
パパとママが6カ月ごとに取得して、パパ・ママ育休プラス制度を利用するケースです。
<産後休業給付>
ママ:20万円÷30日×2/3×56日≒24.9万円
<育児休業給付金>
パパ:30万円×67%×6カ月=120.6万円
ママ:20万円×67%×6カ月=80.4万円
<給与>
パパ:30万円×6カ月=180万円
ママ:20万円×6カ月=120万円
1歳2ヵ月までの1年間の世帯収入は525.9万円に。
夫婦交代で取得したので、1歳2か月まで給付金を受け取れ、世帯収入も多くなります。
パパもしっかり育児に注力できるうえに、ママは仕事を長く休まずに済むため、キャリア面でもスムーズな形と言えますね。
<例3>パパとママが同時に取得するケース
パパが8カ月、ママが8カ月を一部同時に取得するケースです。パパ・ママ育休プラス制度も利用しています。
<産後休業給付>
ママ:20万円÷30日×2/3×56日≒24.9万円
<育児休業給付金>
パパ:30万円×67%×6カ月=120.6万円
30万円×50%×2か月=30万円
ママ:20万円×67%×6カ月=80.4万円
20万円×50%×2カ月=20万円
<給与>
30万円×4カ月=120万円(パパ)
20万円×2カ月=40万円(ママ)
育休中の世帯収入は、435.9万円となりました。
出産後、8週間以内にパパが育児休業を取得した場合には、もう一度育児休業を取れます。
産後のママのフォローをしたいパパ&ママの復職を早めたい場合にぴったり。保活も2人で協力して乗り切れそうです。
<例4>専業主婦の家庭でパパが取得するケース
ママが専業主婦でも、パパは育児休業を取得できます。
働き続けるより収入は減りますが、引き換えに、夫婦一緒にかけがえのない0歳児のわが子を育てることができるのは、大きな意義があるのではないでしょうか。
<育児休業給付金>
パパ:50万円×67%×6カ月=201万円
<給与>
パパ:50万円×6カ月=300万円
1年間の世帯収入は501万円となりました。
ママは産後、体力的に疲れてしまったり、慣れないことで気持ちも不安になることも。
上記のような「パパ・ママ育休プラス制度」を活用して、パパが積極的に育児参加することは、ママにとっても赤ちゃんにとってもいいことでしょう。
現在、共働き世帯は専業主婦世帯の1.62倍。共働きの夫婦が増えており、育児や家事をパパも一緒にやることが求められるように。
しかし、育児休暇を取得しているパパは、2.65%となかなか難しいようです。
制度を家族で理解し上手に活用して、協力して楽しく育児をしていける世の中になると良いですね。
(出所:厚生労働省 「平成28年版 男女共同参画白書」・「平成27年 雇用均等基本調査」)
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