“力を合わせる大切さ”だけの話じゃない『スイミー』
国語の教科書にも出てくるほど有名な絵本『スイミー』。
名シーンといえば、スイミーが目になって、みんなで力を合わせて大きな魚に対抗する場面ですよね。
「みんなで協力する大切さ」を語る絵本と思われていますが、作者のレオ・レオニ氏によると、実は「自己発見と自己実現」という深いテーマがあるそう。
それは、「ぼくが目になろう」のセリフに集約されており、人にはそれぞれの個性と役割があるということを伝えています。
さらに、作者が特に絵の表現力を注いでいるシーンは、スイミーが海を泳いでいる場面です。
一人ぼっちになって、初めて大きな海という世界を自分の目で見て、楽しさを知る。
自分とは何かを発見し、自己認識を深めていく話でもあります。
しつけのための本ではない『ねないこ だれだ』
寝かしつけのための絵本と思われている『ねないこ だれだ』。
実際に、なかなか寝ない子がおばけに連れていかれてしまうシーンがあり、親としては「早く寝ないとおばけが出るぞー!」と脅す意味で捉えがちですが、実は違うそう。
子どもなら「おばけの世界へいってみたい」と思うもの。親心とは裏腹に、子どもたちはドキドキと楽しんで見ています。
絵本に出てくるおばけは、子どもを脅すおばけではなかったのですね!
子どもにとっておばけは、「ちょっと怖いけど、やっぱり好き!」とドキドキしながらも興味のある存在です。
“怖い”という感情は、“楽しさ”や“喜び”といった感情を育てる大切な要素とも言われています。
人気の理由は、そんな感情にも隠されていたんですね。
ジャンクフードは良くないと教える『はらぺこあおむし』
どの家にも1冊はあるといっても過言ではない、名作絵本『はらぺこあおむし』。
この1冊で、仕掛け絵本としての楽しさ、食べ物や数字の言葉、曜日や自然などの社会について学ぶことができます。
子どものための本と思われますが、その裏で、親へのメッセージも読み取ることができます。
チョコレートやアイスクリームを食べすぎたあおむしは、お腹が痛くなり、葉っぱを食べて元気になります。
「ジャンクフードの食べ過ぎは体に悪い。野菜を食べよう。食べたものが体になる」と捉えることができます。
またあおむしは、ただひたすら食べて、そしていつの間にか立派な蝶に……。よく考えると、人間の赤ちゃんと似ていませんか?
最初は、ただひたすら寝ておっぱいを飲んでいたが、いつの間にか成長して動き回る。
シンプルな話なのに、「人生」について感じることができます。親目線で読んであげると、また違った見方ができるかもしれませんね。
<番外編>『おおきなかぶ』が抜けなかったのはおじいさんのせい!?
「うんとこしょ、どっこいしょ」という掛け声で大人気の名作絵本『おおきなかぶ』。
おじいさんがおばあさんを、おばあさんを孫、孫を犬が……とみんなで力を合わせてやっとカブを抜くことができます。
しかし、カブを抜いているシーンの、おじいさんの足元に注目してみてください。なんと、おじいさんが足でカブを押さえているんです!
抜ける時は、おじいさんは足を離しています。
そして、後ろにいるおばあさんは、なぜかニヤニヤした表情で「おばあさんは、おじいさんがわざと押さえていることを知っているのではないか」なんて憶測も♪
それが真相かは定かではありませんが、想像してみるのも楽しいですね。
ぜひ、実際に絵本を手に取って探してみてくださいね。
いかがでしたでしょうか?
基本的には、絵本を読んだ人が感じたことが全てですが、「作者が何を伝えたいのか」「このシーンにはどんな思いがあるのか」を考えて読んでみると、また違った読みものになるかもしれません。
新しい絵本に出会ったら、作者のメッセージもぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
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