【リアル給与明細】45歳、営業職の場合
プロフィール
45歳、男性
営業職
▼現状
IT企業にて営業職1年目。人材の調達。
労働時間は月153時間程度、残業はなし。
ボーナスは年間100万円。
【相談内容】裁量労働制の廃止により毎月約5万円の収入減となるため、管理職を目指したいです。
解説するのは……
◆松田亮太
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級
大学卒業後、地方銀行、外資系生命保険会社を経て、現在FP事務所に勤務中。
管理職への職種変更はキャリアアップにもなる
相談者さんが2023年8月に転職されたお勤め先では、2024年4月に裁量労働制が廃止となり、2年にわたって裁量労働手当がなくなる予定なのですね。
近年の物価高騰により実質賃金も低下し続けている中、毎月約5万円の収入減は金額以上のマイナスを感じると思います。
相談者さんは、この裁量手当廃止分の収入減を補うために管理職を目指すのですね。
おそらく、管理職手当が支給されるのでしょう。
管理職ではこれまでとは異なる部下のマネジメントが主な業務となるでしょうが、職種変更はご自身のキャリアアップになります。
裁量労働制でも休日及び深夜の勤務には手当がつく
裁量労働制は労働時間を自身で管理するため、さまざまな働き方に対応できる制度として注目を集めています。
裁量労働制とは、実働時間ではなく、あらかじめ定められている労働時間を働いたものとして賃金が支払われる制度のこと。
労働基準法に定められている「みなし労働時間制」の1つとして導入している会社も多くあります。
裁量労働制の場合は通常の残業代は発生しませんが、休日や深夜の労働には手当が発生します。
恐らく相談者さんのお勤め先での裁量労働手当は、休日や深夜の労働があるものとして支給されていたのでしょう。
管理職でも残業代や休日手当が支給される場合がある
一般的に、管理職には管理職手当が支給される反面、残業代などの支給がありません。
労働基準法第41条では「管理監督者の労働時間や休憩及び休日は、労働基準法が適用されない」と定められており、この条文が残業代や休日手当が不支給となる根拠といわれています。
そして労働基準法は管理監督者を「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」と定めていますが、管理監督者の具体的な判断基準は法令に定められていません。
そのため管理職であっても、一般の従業員と同じく残業代や休日手当が支給される可能性があります。
管理職手当だけでは管理監督者とはならない可能性も
管理監督者の定義は、厚生労働省の通達では以下の項目に該当する人とされていますが、総合的に判断されるケースが多いです。
- 経営上重要な職務と権限を与えられている
- 労働規定の枠を超えて活動せざるを得ない重要な立場にある
- 賃金等労働条件において優遇措置が与えられている
つまり、管理職手当が支給されている場合、上記の「賃金等労働条件における優遇措置」に該当しますが、それだけでは管理監督者とならないということです。
例えば、管理職手当が著しく低く、労働時間などを管理されている場合は、管理職であっても一般の従業員と同じく残業代や休日手当が支給されるかもしれません。
現在の給料にどうしても納得がいかない場合は、ご自身が管理監督者に該当するか法律の専門家に相談してみましょう。
まとめ
・裁量労働制は本来さまざまな働き方対応できる制度。
・管理職手当が支給されても、残業代や休日手当が支給される可能性もある。
・管理監督者に該当するかは法律の専門家に要相談。
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